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保険鑑定団®お役立ちコラム

私の鼻の話

その他

私の鼻は曲がっている。微妙だが曲がっている。それにはわけがある。

 

 大学生の頃、私は神田神保町で古書のバイトをしていた。毎週金曜日に「明治古典会」という主に都内の古書店が加盟する会(ほかにも○○会なるものは複数ある)が競り市を行う。それぞれが古文書や○○全集や、○○の初版本などをいわゆる市場に出品して、ほしいものを落札し買い取っていくわけだが、値付け後に店売りやデパート展覧会、あるいは目録販売をするという、古書の流通はこのようなものだ。私は出品商品の仕分けやら入札札の確認やら、発送作業やらを任されていた。

 その日のバイトを終えた私は東京古書会館を出て東西線の神保町駅に向かっていた。気づくと夜の神保町はきらびやかなイルミネーションでいっぱいだった。「あぁ、今日はクリスマスイブなんだな」とよそ見をしながら独り言ち、とぼとぼ歩いていた。次の瞬間、前を向いた私の鼻は電柱に激しく激突。当然鼻から出血。鼻を押さえながら駆け込んだのがパチンコ屋「人生劇場」のトイレ。一週間は顔を洗うのも辛かった。

 

 というわけで、私の鼻は微妙に左に曲がっている。クリスマスの季節になると必ず思い出すしょっぱい思い出だ。東京の冬は想像以上に寒い。そして痛い。

 

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この記事を書いた人

【髙橋】
保険相談業務のほか、生命保険や積立投資など、お金に関するセミナー講師も数多く務めています。村上市出身。